この秋はクマの話題が続き、ニュースでは「猟友会」がたびたび取り上げられています。
そもそも猟友会はどんな役割で、出動の流れや判断はどう決まるのでしょうか。また、住宅地で銃が使えるのか、人手や費用の現実はどうなっているのでしょう。
この記事では、最新の制度・データ・報道をもとに、仕組みと現場の課題をまとめて解説します。また、住民ができる備えと通報先も整理します。
北海道警は住宅地での目撃時に110番通報を求めています。まずは基本を正しく知るところから一緒に確認しましょう。
いま猟友会が注目される理由(2025年の背景)
今年は国内で住宅地の出没が相次ぎ、通学路や生活道路付近での目撃がニュースになりました。
北海道内でも札幌・砂川などで住宅街の出没が報じられ、警察は夜通しの警戒に入るケースも出ています。関心が高まるほど、現場に呼ばれる猟友会の役割や限界がクローズアップされます。
出動の基本フローと役割(通報から現場判断まで)
一般的な流れは、住民の通報→警察・自治体の情報集約→危険度評価→出動要請です。
警察は現場の安全確保と周辺警戒、自治体は駆除や捕獲の判断・要請、猟友会は要請に応じた捜索・威嚇・捕獲・駆除の実施を担います。
北海道警は「住宅街で目撃したときは110番」を明確に案内しており、出没情報の確認や複数行動、音で人の存在を知らせるなどの予防も示しています。
安全基準と市街地の銃使用(新ガイドラインのポイント)
市街地での銃の使用は、これまで極めて制限的でした。
現在は市町村の判断で、市街地でも特例的に猟銃使用が可能という運用が示され、自治体・警察・猟友会が手順を確認する訓練も行われています。
ただし、射界(弾道の通り道)や逃走経路、誤射リスクの評価は厳格で、入り組んだ住宅地では限定運用が前提です。現場の安全を最優先し、使える場面は依然として限られます。
人手不足と高齢化の現実(公的統計で確認)
狩猟者は1975年の約51.8万人から近年は約21万人前後へ減少。60歳以上が約6割を占めるなど高齢化が進み、若手は増えつつも全体では薄い構造です。
わな猟の比率が上がる一方、銃猟の担い手は相対的に減っています。結果として「呼べる人がいない」「夜間・平日の即応が難しい」といった現実が、各地の出動体制に重くのしかかっています。
報酬と費用の目安(地域差と持ち出しの課題)
出動に伴う日当や捕獲報奨は自治体差が大きく、近時は日当の引き上げに動く自治体も出ています。
一例として、長野県飯山市では猟友会の日当を5,700円→1万円へ引き上げが可決されました。動物別の報奨金も幅があり、シカで数千〜数万円のレンジが知られています。装備・弾薬・車両費など自己負担が残る実態も課題です。
積丹町で注目された出動拒否報道(要点の整理)
積丹町では、現場での町議の言動をきっかけに、猟友会の出動拒否が1か月以上続いたとする報道が全国で取り上げられました。
地域の出動体制が揺らぐと、住民の不安は一気に高まります。報道が伝えたのは「現場のコミュニケーション不全が、結果的に安全対応の遅れにつながり得る」という点です。
詳しいニュアンスは媒体によって表現が異なるため、経緯の把握は各種報道の本文で確認するのが確実です。(一例:テレ朝NEWS)
住民ができる備えと通報先(実践チェックリスト)
- 住宅地の目撃は110番:場所・頭数・行動方向を落ち着いて伝えます。
- 出没情報の確認:自治体サイト・警察発信を定期チェック。通学や散歩コースの調整に役立ちます。
- 遭遇回避の基本:複数での行動、鈴やラジオで人の存在を知らせる、痕跡(足跡・フン)を見たら引き返す。ゴミは放置しない。
- 市街地の駆除は限定的:銃が“使える”となっても、安全条件がそろわなければ実施できません。無用な接近や撮影は避けましょう。
猟銃を持つまでの手順と目安(講習→適性→申請→許可)
そもそも猟銃を所持するにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか。また、猟友会へ加入するにはどうすればよいのでしょうか。ここからはその工程、種類、コストなどをみていきましょう。
猟銃を持つには、まず警察の猟銃等講習会(初心者講習)を受講し、修了証明を取得します。医師の診断書、身分証明、同居親族書、保管庫の準備など必要書類をそろえ、住所地の警察署で所持許可を申請します。
審査(身辺調査・保管状況確認など)を経て許可が出たら、購入・火薬関係の手続きを進めます。更新は所持許可の有効期間に応じて講習・手続きが必要です。 東京都警視庁(猟銃・空気銃の所持許可申請)
狩猟免許の種類と年齢条件(第一種・第二種・わな・網)
狩猟免許は4種類です。
- 第一種銃猟(装薬銃・空気銃)
- 第二種銃猟(空気銃)
- わな猟
- 網猟
取得年齢は、わな・網は18歳以上、銃猟は20歳以上が原則です。狩猟を行うには免許に加えて、毎シーズンの狩猟者登録が必要です。銃を所持するには別途公安委員会の所持許可も要ります。 環境省(狩猟制度の概要)
猟友会に入るには(加入窓口・流れ・メリット)
加入は各都道府県猟友会(支部)が窓口です。最寄り支部に連絡し、年会費・保険・活動内容の説明を受けて手続きします。
加入のメリットは、安全講習・研修への参加、先輩猟師からの実地指導、地域の有害鳥獣対策への参画機会など。まずは都道府県猟友会の案内ページや連絡先からコンタクトするのが近道です。
普段の活動と安全教育(有害鳥獣・地域連携・啓発)
猟友会は、狩猟期のマナー啓発や安全教育、射撃・わな等の技能研修、自治体からの依頼に基づく有害鳥獣捕獲の支援など、地域と連携した活動を日常的に行っています。
新人は座学と現場の両方で安全第一を学び、装備・保管・連絡体制の基本を身につけます。活動は地域差があるため、入会前に支部で具体像を確認すると安心です。
費用の目安と初年度の概算(講習・申請・装備・会費)
- 講習・審査まわり
- 猟銃等講習会(初心者):6,900円(東京の例)/経験者:3,000円
- 技能講習(所持者向け):14,000円(2024/4/1以降)
- 教習資格認定:8,900円
いずれも警察の手数料として明示されています(都道府県で同水準)。
- 所持許可・射撃教習など
- 射撃教習:約5万円目安
- 所持許可 申請手数料(新規):10,500円(例示)
※都道府県で細目は異なるため、申請時に所轄で確認します。
- 狩猟免許(都道府県実施)
- 受験手数料:5,200円(再受験3,900円の例)
- 種類:第一種銃猟/第二種銃猟/わな/網(年齢条件:銃=20歳以上、わな・網=18歳以上)
- 免許のほかに毎シーズンの狩猟者登録が必要です。
- 猟友会の年会費(地域差あり)
- 目安:1万円前後〜1万5,000円(支部・種別で増減)
- 例:兵庫県の一支部では合計約1万5,000円(年度により変動)という実例あり。
- 装備・保管
- 保管庫(ガンロッカー):2万円台〜(規格・容量で上下)
- 装薬・弾薬・安全用品などは用途次第で変動(初年度は数万円〜十数万円のレンジになりやすい)
※装備は規格適合と安全要件を満たすものを選びます(保管基準は下の章)。
初年度費用チェックリスト(概算の目安つき)
| チェック | 項目 | 目安費用 | メモ |
|---|---|---|---|
| □ | 猟銃等講習会(初心者) | 6,900円 | 都道府県で同水準の公的手数料 |
| □ | 教習資格認定 | 8,900円 | 申請時に必要 |
| □ | 射撃教習 | 約50,000円 | 射場・回数で上下 |
| □ | 猟銃所持許可 申請手数料(新規) | 10,500円 | 都道府県で細目差あり |
| □ | 技能講習(所持者向け) | 14,000円 | 更新期に必要 |
| □ | 医師の診断書 | — | 医療機関により異なる(事前確認) |
| □ | 狩猟免許 受験手数料 | 5,200円 | 第一種/第二種/わな/網の別あり |
| □ | 狩猟者登録(毎シーズン) | 数千円〜 | 都道府県・猟法で差 |
| □ | 猟友会 年会費 | 10,000〜15,000円 | 支部により異なる |
| □ | ガンロッカー(保管庫) | 20,000円〜 | 規格・容量で上下 |
| □ | 重要部品用 施錠保管箱 | 5,000円〜 | 分離保管用 |
| □ | 弾薬・安全用品・消耗品 | 数万円〜十数万円 | 用途・量で大きく変動 |
| □ | 交通費・射場利用料 ほか | 変動 | 居住地・頻度で変動 |
保管の基準とチェックリスト(施錠・分離・車内放置の禁止)
- 基本は“施錠・分離・秘匿”
銃は施錠できる保管庫に収納し、重要部品を分離して別の施錠設備に保管します。押し入れ等の目立たない場所に保管するなど、盗難防止の配慮が求められます。 - 車内放置は不可
車両内に置いたまま離れる行為は「適法な保管」に当たりません。宿泊時も車内保管はNGで、宿泊施設等で施錠管理と重要部品の分離を行います。 - 外泊時の実務メモ
ケースごとに先台等の重要部品を取り外し、発射できない状態にしたうえで、施錠設備に分離保管します。状況に応じて所轄警察に相談・指示徹底が推奨されます。 (以上警視庁資料参照) - 家庭内の運用
カギの管理者は所持者本人。合いカギの不用意な共有は避けます。弾薬は銃と別保管、記録と在庫管理を徹底します(地域・規則に沿う)。関連規程や安全管理の資料も併せて確認しておくと安心です。 (関連資料)
保管・運用チェック(安全基準の要点)
- □施錠できる保管庫に銃を収納している
- □重要部品(先台等)を分離し、別の施錠保管箱で管理している
- □弾薬は銃と分けて保管している(在庫・記録を管理)
- □車内放置はしない(宿泊時もNG。施設で施錠&分離)
- □保管場所は目立たない位置で、鍵は所持者のみ管理
- □更新時期(許可・講習)をカレンダー管理している
- □家族・同居人へ取り扱い禁止と連絡体制を共有済み
よくある疑問の整理(Q&A)
- なぜ警察や自衛隊が常に駆除しないのですか?
-
現場での即応は警察が担いますが、銃の使用や捕獲の実務は、自治体の判断と猟友会等の技能に依存します。市街地の発砲はリスク評価が厳しく、常に実施できるわけではありません。
- すぐ駆除すると決められないのはなぜ?
-
個体の位置・動き・人の密度・射界・逃走経路・周辺の地形など、安全条件の確認が必要だからです。危険が高いと判断されれば封鎖や警戒で時間を稼ぎ、より安全な場所へ誘導・捕獲を図ります。
- 出動を断られることはありますか?
-
あります。安全が確保できない、人員が足りない、夜間・悪天候など、現場の条件次第です。自治体の報酬改定や訓練の充実は、その“穴”を少しでも埋める取り組みです。
まとめ
- 役割の基礎:住民の通報→警察と自治体が危険度判断→猟友会が要請で実働。住宅地の目撃は110番が原則です。
- 市街地の銃使用:自治体判断の特例運用が整備されましたが、安全条件が厳格で、可能な場面は限定的です。
- 現場の課題:人手不足と高齢化、費用負担、コミュニケーション不全が重なると体制が揺らぎます。報酬の見直しや訓練の整備が進みつつあります。
この1本で、ニュースで耳にする「猟友会」を立体的に理解できるはずです。地域の出没情報は日々変わるため、住んでいる市区町村と警察の最新発表をこまめに確認して、安全第一で行動してください。

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