映画「国宝」からはじめる歌舞伎入門 初心者が押さえたい見どころと楽しみ方

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映画「国宝」からはじめる歌舞伎入門 初心者が押さえたい見どころと楽しみ方

映画「国宝」のヒットをきっかけに、「ちゃんと歌舞伎を見てみたい」と感じた方も多いのではないでしょうか。

ただ、いざ歌舞伎となると「難しそう」「どこで見られるの?」「マナーが分からない」と不安を感じて足が止まってしまいがちです。

この記事では、映画「国宝」で歌舞伎の世界に興味を持った初心者の方に向けて、歌舞伎とはどんな芸能なのか、どこを見れば楽しめるのか、そして実際にどうやって観に行けばよいのかを整理します。

専門用語はできるだけかみ砕きつつ、最初の一歩にふさわしい代表的な演目や、自宅で気軽に歌舞伎に触れる方法も紹介します。「映画で見た世界を、いつか本物の舞台で味わってみたい」と思えるような、ゆるやかな入門ガイドとしてお読みいただければうれしいです。

目次

映画『国宝』が映し出す歌舞伎の世界とは何か

まずは入口となる映画「国宝」と歌舞伎の関わりを、ネタバレを避けながらごく簡単に振り返ります。作品の世界観を思い出しつつ、そこから実際の歌舞伎にどうつながっていくのかを考えてみましょう。

『国宝』のあらすじと歌舞伎との関わり(ネタバレなし)

国宝」は、人気作家・吉田修一さんの同名小説を原作とした映画で、任侠の家に生まれた少年・喜久雄が、数奇な運命から歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げていく姿を描いた作品です。

主人公・喜久雄を演じるのは吉沢亮さん。歌舞伎舞踊のシーンでは、吉沢さんや横浜流星さん、渡辺謙さんらが吹き替えなしで舞台に立ち、歌舞伎特有の動きや所作に挑んでいることも話題になりました。

物語の細かな展開は実際に映画をご覧いただくとして、作品全体を通して「芸にすべてを捧げる」という覚悟や、歌舞伎の家に生まれた人たちの重圧と誇りが、濃密に描かれています。

映画「国宝」をきっかけに、物語の奥行きや登場人物の心の動きをもっと深く味わってみたいと感じる人も多いはずです。

そんなときは、原作小説「国宝」(吉田修一)を手に取ってみるのもおすすめです。映画では描ききれなかった細かな心情の揺れや、歌舞伎の芸に向き合う苦悩がじっくりと描かれていて、スクリーンで観たシーンが頭の中でもう一度立ち上がってくるような読書体験ができます。

紙の本だけでなく、Kindleや楽天Koboなどの電子書籍版も出ているので、「まずは試し読みしてから決めたい」という方は、電子書籍ストアでレビューや目次をチェックしてみてください。

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映画をきっかけに歌舞伎が気になった人のモヤモヤ

映画を観終わったあと、

  • 本物の歌舞伎の舞台も見てみたい
  • でも、演目名やルールが分からない
  • チケットの買い方や服装も不安

といったモヤモヤを抱えたまま、検索だけして終わってしまう人も少なくありません。

歌舞伎は何百年も続いてきた伝統芸能である一方、今は配信や映画館のライブビューイングなど、以前よりもずっと身近に触れられる環境が整いつつあります。まずは「歴史のすべてを覚える」のではなく、「知らないままでも楽しめるポイント」から押さえていくのが、映画から入った人にとっては現実的でおすすめです。

歌舞伎とはどんな芸能なのかをやさしく整理

ここでは、歌舞伎そのものについて最低限知っておきたいポイントを、歴史と特徴に分けてざっくり整理します。細かな年号を覚える必要はありませんが、「どういう背景を持った芸能か」を知っておくと、舞台や映画の世界が少し立体的に見えてきます。

歌舞伎のざっくりした歴史と特徴

歌舞伎は、江戸時代の初めごろに京都で生まれたとされる日本の伝統演劇です。派手な衣装や隈取(くまどり)と呼ばれる化粧、独特の音楽や語りによって、歴史物から恋愛劇、人情噺までさまざまな物語が上演されてきました。

現在は、歌舞伎座や新橋演舞場といった専用劇場だけでなく、地方公演や海外公演も行われ、2010年代にはユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

特徴としては、

  • 男性俳優だけで女性役も演じる「女方(おんながた)」
  • 観客の掛け声(大向こう)や「見得(みえ)」と呼ばれる決めポーズ
  • 能や人形浄瑠璃など、他の伝統芸能とのつながり

などが挙げられますが、すべてを一度に理解する必要はありません。「とにかく派手でテンポの良いエンタメ」として楽しんでもまったく問題ありません。

歌舞伎ならではの「型」と役の種類

歌舞伎の世界には、「型(かた)」と呼ばれる決まった動きや演じ方があり、同じ演目でも代々受け継がれた型を大切にしながら演じるのが特徴です。

役の種類もいくつかに分かれます。

  • 立役(たちやく):主に男性の役。勇ましい武将から町人まで幅広い。
  • 女方(おんながた):男性俳優が演じる女性の役。しとやかさや色気を表現する。
  • 敵役(かたきやく):悪役やライバル的な立場の役。芝居を大きく動かす存在。

映画「国宝」のように、役者同士のライバル関係や「芸にすべてを捧げる覚悟」が描かれる作品を見たあとだと、舞台の上の立役・女方の姿にも、より深いドラマを感じられるようになるはずです。

初心者が知っておきたい歌舞伎の基本用語と見どころ

歌舞伎を見に行く前に、最低限いくつかの用語だけ押さえておくと、舞台の楽しみ方がぐっと広がります。ここでは、映画「国宝」の世界とも重なりやすいキーワードを中心に紹介します。

花道・黒衣・見得など、舞台を楽しむキーワード

  • 花道(はなみち)
    客席の中を通る細長い通路で、役者が登場・退場するときに使います。役者がすぐそばを通るので、迫力を間近で感じられるポイントです。
  • 黒衣(くろご)
    黒い装束を着たスタッフで、舞台上で小道具の出し入れや役者の補助をします。「黒は見えない色」とされ、観客は基本的に「そこにいないもの」として扱います。原作者の吉田修一さんも、黒衣として歌舞伎の現場に立ち会った経験から「国宝」を書き上げたとされています。
  • 見得(みえ)
    役者が動きをピタリと止め、目を見開いてポーズを決める瞬間です。物語のクライマックスや感情の高まりを視覚的に表現します。見得の場面では、観客の掛け声(「○○屋!」など)が飛ぶこともあります。

これらの用語を頭の片隅に置いておくだけで、「あ、これが花道か」「今のが見得だな」と気づく瞬間が増え、映画や舞台のシーンがぐっと印象に残りやすくなります。

どこを見ればいい?視線の置き方と「推しポイント」

初めて歌舞伎を観るとき、「舞台のどこを見ていればいいのか分からない」と感じる人も多いです。迷ったら、次のようなポイントに視線を置いてみてください。

  • 主役とその周りの人物の「距離感」や立ち位置
  • 音楽(長唄や三味線など)が盛り上がるタイミング
  • 衣装の色や模様が変わる場面

物語の細かい筋が追いきれなくても、表情や身体の動き、音と照明の変化だけでも十分楽しめます。「筋を100%理解できなかった=失敗」ではなく、そのとき自分が「かっこいい」「きれいだ」と感じた瞬間を、素直に味わうスタンスで問題ありません。

初めて歌舞伎を観に行くときのチケット選びとマナー

映画館と違って、歌舞伎の劇場に行くのは少しハードルが高く感じられるかもしれません。ここでは、初めての観劇に向けたチケット選びとマナーを、できるだけシンプルに整理します。

席の種類と選び方 最初はどのランクが見やすいか

歌舞伎座などの劇場では、一般的に

  • 1等席(またはS席):舞台全体がよく見える中心的な席
  • 2等席・3等席:やや後ろや端だが、価格は抑えめ
  • 一幕見席:1幕だけを安く観られる席(劇場による)

といった区分があります。

初めてであれば、

  • 予算に余裕があれば「2等席」か「1等席の端寄り」
  • とにかく雰囲気だけ試したいなら「一幕見席」

あたりを検討するとよいでしょう。全体が見えた方が物語を追いやすく、花道や舞台の奥行きも把握しやすくなります。

服装・持ち物・劇場でのマナーをシンプルに整理

歌舞伎の観劇と聞くと、ドレスアップしなければいけないイメージを持たれがちですが、現在は「きれいめの普段着」でまったく問題ありません。

  • 清潔感のあるカジュアル(ジャケットやブラウスなど)
  • 足元は階段の上り下りを考えて、歩きやすい靴
  • 場内は冷暖房で冷えやすいので、薄手の羽織りがあると安心

また、劇場内では

  • 上演中はスマホの電源オフ(マナーモードだけでは不十分な場合も)
  • 写真撮影・録音・録画は基本的に禁止
  • 客席での飲食は、劇場のルールに従う(ロビーの休憩時間のみ可など)

といった基本マナーを守れば十分です。「分からないことは劇場スタッフに聞く」でOKです。

予算を抑えて歌舞伎を楽しむ方法(一幕見席など)

「いきなり1等席はちょっと…」という場合は、一幕見席や昼夜公演のうち短めのプログラムを選ぶのも一つの手です。

一幕見席は、演目の一部だけを安く観られる席で、歌舞伎座など一部劇場で導入されています。気になる演目だけをピンポイントで体験できるので、「お試し観劇」に向いています。

自宅で歌舞伎の世界に触れる方法(配信・本・映像作品)

劇場に足を運ぶ前に、自宅で歌舞伎の雰囲気に慣れておきたいという方も多いと思います。ここでは、配信サービスや書籍など、自宅でできる「ゆるい入門」の方法を紹介します。

動画配信サービスやオンデマンドで歌舞伎を観る

近年は、歌舞伎の舞台を楽しめる動画配信やオンデマンドサービスも増えてきました。

  • 公演を収録した映像を配信する専門サービス
  • 一部の総合動画配信サービスでの歌舞伎作品配信
  • 映画『国宝』のような、歌舞伎を題材にした実写映画

などがあり、劇場に行かなくても、映像越しに歌舞伎の空気を味わうことができます。

歌舞伎入門に向いた本・電子書籍でゆっくり学ぶ

「一度にたくさんの情報を覚えるのは大変」という方には、歌舞伎入門書や図解が豊富な解説本がおすすめです。

舞台写真や図解を見ながら「これはこういう所作なんだ」「この役柄にはこういう決まりがあるんだ」と確認できるので、映画のシーンを思い出しながら理解を深めやすくなります。

  • 写真やイラストが豊富で、衣装や舞台装置が分かりやすい本
  • 有名演目のあらすじと見どころを短くまとめたガイド本
  • 歌舞伎の歴史や役者の系譜をざっくり説明した読み物系

とくに、初心者向けに有名な演目や役柄のパターンをコンパクトにまとめた本が一冊あると、「次は本物の歌舞伎を観に行ってみたい」と思ったときにも心強い相棒になります。

紙の本だけでなく、電子書籍ならスマホやタブレットで気軽に読めるので、映画や舞台の待ち時間に少しずつ読み進めることもできます。

よくある質問(Q&A)

ここからは、歌舞伎初心者の方が持ちやすい疑問を、Q&A形式でまとめます。映画「国宝」を観て興味を持った方にも当てはまりそうな内容を中心に選びました。

歌舞伎はやっぱり「予習」が必要ですか?

予習がなくても楽しめますが、ざっくりしたあらすじや主要な登場人物だけ知っておくと、物語を追いやすくなります。劇場の公式サイトには公演ごとの解説ページがあることが多いので、気になる演目のときは事前にチェックしておくと安心です。

子どもを連れて行っても大丈夫でしょうか?

公演内容や上演時間にもよりますが、子ども向けの企画公演や、比較的短い演目を集めたプログラムもあります。劇場によっては年齢制限を設けている場合もあるため、公式サイトの案内やチケットページをよく確認してください。

映画「国宝」の登場人物に実在のモデルはいるのですか?

原作小説「国宝」は、作者自身が黒衣として歌舞伎の現場に立ち会った経験をもとに書かれていますが、「この人物がモデル」と公式に名指しされた具体的な役者名は公表されていません。実在の歌舞伎界の歴史や人物から着想を得ている可能性はありますが、誰が誰のモデルかを特定するような推測は控えた方がよいでしょう。

とりあえず一本だけ観るなら、どんな演目がよいですか?

好みにもよりますが、分かりやすい勧善懲悪や、派手な立ち回りのある演目は、初めての方でも楽しみやすいと言われます。劇場の公式サイトや入門書では「初心者向け」と紹介されている演目がまとめられていることもあるので、そうした案内を参考に選ぶと失敗が少なくなります。

歌舞伎の世界に詳しくなりすぎると、かえって楽しめなくなりませんか?

細かい知識が増えると「ここは本来こうあるべき」と気になってしまうこともありますが、もともと歌舞伎は庶民が楽しむ娯楽として発展してきた芸能でもあります。最初は「よく分からないけれど、なんだかすごかった」という感想で十分で、そこから少しずつ興味のある方向に深掘りしていけば大丈夫です。

まとめ 映画『国宝』から本物の歌舞伎の世界へ一歩踏み出す

映画「国宝」は、歌舞伎の舞台に立つ役者たちの覚悟や、芸にすべてを捧げる人生の重みを描いた作品です。その世界に心を動かされたなら、次の一歩として実際の歌舞伎公演や配信作品に触れてみるのがおすすめです。

この記事では、

  • 歌舞伎とはどんな芸能か
  • 初心者が押さえたい用語と見どころ
  • チケットの選び方や服装・マナー
  • 自宅での入門方法(配信・本・電子書籍)

といったポイントを、できるだけやさしく整理しました。「いつか行きたいな」と思っているだけでは、あっという間に時間が過ぎてしまいます。映画館を出たあとの高ぶった気持ちが少し残っているうちに、公式サイトで公演情報を眺めたり、入門書や配信作品を1本だけ試してみたりと、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。

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