「パソコンが一斉値上げになるらしい」「メモリ不足で価格が20%上がる可能性がある」といったニュースが相次ぐと、買い替えを迷っている人は気持ちが落ち着かないと思います。実際、DRAMなどメモリ部品の価格が急激に上がり、デルやレノボ、HPといった世界大手のPCメーカーが15〜20%の値上げを検討していると報じられています。
一方で、すでにここ数年、日本国内では円安と物価高の影響でPCの平均単価がじわじわ上がってきており、「これ以上上がる前に慌てて買ったほうがいいのか、それとも様子を見たほうがいいのか」と悩んでしまいがちです。
ただ、「今すぐ買う」か「待つ」かの正解は、人によって異なります。仕事や学習でパソコンが生活の基盤になっている人と、ネット閲覧中心で予備の端末もある人とでは、優先したいポイントが変わるからです。ここでは、値上げの背景を踏まえたうえで、どんな人は早めの買い替えを考えたほうがよいのか、どんな人なら様子見も選択肢にできるのかを整理していきます。
パソコンの値上げが続いている背景と今後の見通し
まずは、なぜ今パソコンが値上がりしているのかを、ざっくり押さえておきましょう。背景を知っておくと、「今だけの一時的な話なのか」「しばらく続きそうなのか」の見通しが立てやすくなります。
AI需要とメモリ不足がPC価格に与えている影響
2025年秋以降、DRAMやSSDなどのメモリ関連部品の価格が急上昇し、深刻な供給不足が続いています。原因として各社が挙げているのが、AIデータセンター向け需要の増加です。巨大なAIモデルを動かすために、莫大な量のメモリとストレージが必要になり、DRAMメーカーがサーバー向けの高付加価値品を優先していると報じられています。
この結果、一般のノートPCやデスクトップ向けのメモリ供給が細り、PCメーカーは部材コストの上昇に直面しています。TrendForceの分析では、メモリ価格が四半期ベースで二桁%の値上がりを続ける可能性があるとされ、デルやレノボなどがPC価格を15〜20%引き上げる検討に入ったという報道も出ています。
円安と物価高でじわじわ上がってきた国内価格
日本国内では、AIブーム以前からPC価格が上昇傾向にありました。パソコン出荷動向の調査によると、2024年度上期の国内パソコン平均出荷単価は前年比0.6万円増の12.1万円となり、数年前と比べて1台あたりの単価が明らかに高くなっています。
背景には、
- 円安が進んだことで、輸入部品や完成品PCの仕入れ価格が上がったこと
- 世界的なインフレで部材や物流コストが上昇したこと
があります。PCパーツショップのブログでも、ここ2〜3年で「10万円で買えていたベーシックモデルが13万円前後になった」といった実感が共有されています。
値上げはいつまで続きそうかという中期的な見方
メモリ高騰の要因となっているAI需要は、短期的なブームというより中長期に続くトレンドと見られています。業界の予測では、2026年にかけてメモリ価格が最大20%程度上昇する可能性があるとの見方もあり、すぐに「元の安い水準に戻る」とは考えにくい状況です。
一方で、PCの売れ行きが鈍ればメーカー側も大幅な値上げを続けにくくなり、構成を見直してメモリ容量を抑えるなどの形で価格調整を図る動きも出ています。
つまり、
- 短期(1年前後): メモリ高騰の影響が強く、基本的には「安くはなりにくい」
- 中期(2〜3年): 需要と供給のバランス次第で、横ばいか緩やかな調整
という見通しが多く、数ヶ月待てば劇的に安くなる、という期待は持たないほうが現実的です。
値上げ前にパソコンを買ったほうがいい人の条件
ここからは、「どんな人は値上げ前に買っておいたほうが安心か」を具体的に見ていきます。無理に急ぐ必要はありませんが、条件に当てはまる場合は、「先送りしすぎない」ほうが結果的に得になるケースもあります。
仕事や学習に必須で、今のPCが不安定になっている場合
テレワークや在宅勤務が当たり前になり、パソコンが生活のインフラになっている人も多いと思います。
次のような状態が続いている場合は、値上げ前に買い替えを検討する余地が大きいです。
- 起動やアプリの立ち上がりに極端に時間がかかる
- 仕事中に頻繁にフリーズや強制終了が起きる
- オンライン会議でカメラやマイクのトラブルが多い
こうした不安定さは、作業効率の低下だけでなく、トラブル時の精神的な負担も大きくなります。今後さらに数万円の値上げが予想されるなかで、仕事や学習の基盤となるPCだけは優先度を上げて整えておいたほうが、長期的には安心感につながります。
OSサポート終了や故障リスクが近づいている場合
Windowsのサポート期限が迫っている、過ぎているPCも、早めに検討したいケースです。国内の需要動向でも、OS更新のタイミングで企業・個人の買い替えが一気に増える傾向が確認されています。
- サポート切れのOSを使い続けると、セキュリティリスクが高まる
- 古いCPUやチップセットでは、最新OSへのアップグレード自体が難しい
といった事情があるため、値上げ局面だからといって、サポート終了後も長く使い続けるのはおすすめしづらいところです。
また、購入から7〜8年以上経過しているPCは、突発的な故障や部品不良が発生しやすくなります。完全に壊れてから慌てて新機種を探すよりも、ある程度余裕をもって買い替え計画を立てておいたほうが、セールや旧モデルなどを比較検討しやすくなります。
近いうちに高めのスペックが必要になる予定がある場合
動画編集や画像処理、3Dゲーム、AI関連ツールの利用など、近い将来に「今よりも重い作業をする予定」がある場合も、早めの検討が選択肢になります。
メモリ価格高騰の影響は、とくに大容量メモリで大きく、「16GBから32GBに上げたい」といった人ほど負担が増えやすいと指摘されています。
今後数年のあいだ、そのパソコンをメインに使い続けるなら、
- 余裕のあるメモリ容量(最低16GB、用途によっては32GB)
- 将来のアップグレード余地(メモリ増設のしやすさなど)
を考えたうえで、値上げ前にある程度スペックを確保しておく発想もあります。
しばらく様子見してもよい人のパターン
一方で、「今すぐ高いお金を出して買い替える必要はなさそう」というケースもあります。ここでは、様子見も選択肢にできるパターンを整理します。
現在のPCに大きな問題がなく、用途も軽い場合
- 主な用途がウェブ閲覧・メール・簡単な文書作成
- 動作が極端に遅いわけではなく、故障の気配も少ない
- OSサポート終了までまだ十分な期間が残っている
といった条件がそろっているなら、短期的な値上げニュースに振り回される必要はあまりありません。
むしろ、今使っているPCを最後まで使い切ることで、買い替えサイクル全体で見れば出費を抑えられる場合もあります。
新CPUや新モデルを待つことで得られるメリット
PC業界では、毎年のように新しいCPUやGPU、新デザインのモデルが登場します。大きな性能向上や省電力化が見込まれている世代が近くに控えている場合、あえて次の世代を待つ判断もあります。
- 新世代CPUでバッテリー持ちや処理性能が大きく向上する
- 現世代モデルが在庫処分で値下がりする可能性がある
など、性能面や価格面でのメリットが期待できることもあります。
ただし、最近は部材高騰の影響で「新世代でも価格が上昇気味」という傾向もあるため、「待てば大幅に安くなる」とは限りません。その点は、あくまでも「性能や機能の進化を重視して待つ」という感覚で捉えるとバランスが取りやすくなります。
買い替え予算をもう少し貯めたい場合の考え方
まとまった金額が必要になる買い物は、家計全体とのバランスが重要です。
- 住宅ローンや教育費が重なっている
- すぐにカード一括で払うと生活防衛資金が減りすぎる
といった状況なら、PCのグレードを落としたり、中古や型落ちモデルを検討したりしながら、「今できる最適解」を探すのも一つの方法です。
そのうえで、「あと半年〜1年かけて、もう少し予算を用意してから、少し良いグレードを狙う」という計画もあります。家電量販店のオンラインストアや大手ECサイトでは、型落ちPCやアウトレット品が割安で並ぶこともあるので、普段からリストに入れて価格の動きを眺めておくとタイミングをつかみやすくなります。
値上げ局面でも出費を抑える具体的な選択肢
「今買うかどうか」だけでなく、「どう買うか」も工夫の余地があります。ここでは、値上げ局面でも出費を抑えやすくする選択肢をいくつか挙げます。
中古や型落ちモデルを安全に選ぶポイント
円安と物価高のなかで、中古パソコンの注目度が高まっています。中古なら、同じ予算でもワンランク上のスペックを狙えることが多く、円相場の影響も新品より受けにくいとされています。
中古や型落ちを選ぶ際は、次の点を意識しておくと安心です。
- 保証が付いているショップかどうか(初期不良対応・1年保証など)
- SSD搭載かどうか(HDDのみの機種は体感速度が大きく違う)
- メモリが8GB以上あるか(可能なら16GBあると余裕が大きい)
- バッテリー劣化が激しすぎないか(モバイル用途の場合)
大手の中古専門店やメーカー公式のアウトレットは、検品や保証がしっかりしているケースが多く、初めての中古でも利用しやすい選択肢です。
メモリ高騰下でのスペックの決め方
メモリ価格が大きく上がっている今、「どこまで積むか」は悩ましいところです。メモリ容量の比較検証では、一般的なオフィスワークやブラウザ作業では16GBで十分だが、クリエイティブ用途やAI処理、重いゲームでは32GB以上で余裕が出るといった傾向が示されています。
- ネット閲覧・動画視聴・文書作成が中心 → 16GBあれば数年は安心
- 写真現像・動画編集・複数アプリ同時利用 → 32GBを検討
- 今後AI系ツールを本格活用する予定 → 拡張余地があるモデルを選ぶ
というように、「今」と「数年後の使い方」の両方を想像しながら決めると、過不足を減らせます。
もし迷う場合は、増設しやすい構成のPCを選び、最初は16GBで購入して、必要になったら増設するという段階的な方法もあります。
セールやポイント還元を活用したタイミングの取り方
値上げ局面でも、
- 年末年始セール
- 決算セール
- 大型ECサイトのポイントアップデー
などを活用すると、実質負担を抑えやすくなります。
とくに、家電量販店のオンラインストアや大手ECでは、型落ちモデルの在庫処分が重なるタイミングで、現行モデルより割安な価格になることもあります。気になる機種は価格比較サイトや公式ストアの「セール・アウトレット」ページにブックマークしておき、一定期間価格の動きを追ってみると、相場観がつかめて判断しやすくなります。
パソコン値上げと買い替えタイミングに関するよくある質問
- 値上げ前に絶対に買ったほうがいいタイミングはありますか?
-
絶対というタイミングはありませんが、OSサポート終了が近い場合や、現行機が仕事で支障が出るほど不安定な場合は、値上げを待たずに買い替えたほうが安全です。また、メーカーが具体的な値上げ時期を公表している場合には、その前後にかけて旧価格の在庫がなくなることが多いため、欲しいモデルが決まっているなら早めに動いたほうが選択肢を確保しやすくなります。
- 円安が落ち着けば、そのうちPCも安くなりますか?
-
為替がPC価格に与える影響は大きいですが、同時にメモリや半導体の国際的な需給状況、物流コストなども価格を左右します。円高方向に振れれば値下げ余地は生まれますが、AI需要が続きメモリ価格が高止まりする場合は、為替だけで大きく値下がりするとは限りません。短期的に「すぐ元の価格に戻る」と期待するより、数年単位でじわじわと相場が変化していくイメージで捉えたほうが現実的です。
- 中古パソコンを選ぶのはやはり不安ですか?
-
中古パソコンに不安を感じる人は多いですが、保証付きの専門店やメーカー公式アウトレットを選べば、初期不良や極端なバッテリー劣化への対応が用意されている場合が多く、リスクを抑えやすくなります。新品と比べて同じ予算でワンランク上のスペックを狙えることもあるため、値上げ局面では現実的な選択肢のひとつです。
まとめ
パソコンの値上げは、DRAMなどメモリ部品の不足と価格高騰、AIデータセンター向け需要の増加、円安や物価高といった複数の要因が重なって起きています。短期的には値上げ圧力が強い状況が続きそうで、「しばらく待てばすぐに安くなる」とは言いづらいのが現状です。
一方で、すべての人が「今すぐ買うべき」というわけではありません。
- 仕事や学習に不可欠で、今のPCが不安定な人
- OSサポート終了や故障リスクが近づいている人
- 近い将来、高めのスペックが必要になる予定がある人
は、値上げ前の検討を進めたほうが安心感が大きくなります。
対して、
- 現在のPCに大きな不満がなく、用途も軽い人
- 新世代CPUやモデルを待ちたい人
- 予算をもう少し貯めてから、余裕を持って選びたい人
は、様子見という選択肢も十分にあり得ます。
そのうえで、中古や型落ちモデルの活用、メモリ容量の決め方、セールやポイント還元の利用など、「どう買うか」を工夫することで、値上げ局面でも納得度の高い買い物に近づけることができます。
家電量販店のオンラインストアや大手ECサイトでは、旧モデルやアウトレット品がまとめて掲載されることも多いので、気になる人は価格や在庫をときどきチェックしながら、自分にとってちょうどいいタイミングを探してみるとよいでしょう。

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